計画地は、青山通りに面しスパイラルやMA5など著名な建築が立ち並ぶ南青山エリアにあります。周囲は、建物同士の調和を大切にした街並みが広がり、表参道や渋谷の多彩なファサードとは対照的に、フォーマルで直線的なデザインが多いことが特徴です。
本プロジェクトでは、青山通りに面する間口がわずか5メートルと限られる中で、裏通りに広がる敷地特性を活かしながら、「VORT®」シリーズらしい個性と品格を兼ね備えたデザインを目指しました。
デザインのコンセプトは、「VORT」のロゴから生まれた“符号（CODES）”と“調和（CHORDS）”。縦張りのALC壁面に特殊塗装を施し、横方向にコード柄のパターンを描いています。この模様は、アルゴリズムによって粗密をコントロールし、都市のリズムや動きを繊細に表現しています。ファサードの中には「VORT」のサインが浮かび上がるように仕掛けられ、ブランドの存在をさりげなく感じさせます。
低層部では、隣接建物のピロティと高さを揃え、裏通りに“溜まり空間”をつくり出しました。通りに開放感と広がりをもたらし、南青山らしい上質な街の風景を演出しています。エントランスには、青山通り側の建物から抽出したデザインコードを取り入れ、近似色のアルミ複合板で統一感と高級感を表現しています。
夜になると、建物頂部や階段部に設けた動的照明が、光の流れやきらめきを描き出します。流星のように流れる光や、星の瞬きを思わせる演出が時間帯ごとに切り替わり、南青山の夜景に新しい表情を添えます。
高層階からは、青山や六本木の街並みを一望でき、快適で眺望の良いオフィス空間を実現しています。「VORT」のアイデンティティと街並みの調和を融合させたこの建物が、南青山に新たな価値と風景をもたらします。
DATA
| 所在地 | 東京都 港区 南青山 |
|---|---|
| 用途 | 事務所、飲食店、サービス店舗 |
| 設計期間・監理期間 | R5.01.06-R6.11.29 |
| 敷地面積 | 441.83㎡ |
| 建築面積 | 353.80 ㎡ |
| 建蔽率 | 885.90%（900%） |
| 延床面積 | 2,996.76㎡ |
| 容積率 | 885.90%（900%） |
| 階数 | 9階 |
| 構造形式 | 鉄骨造、場所打ちコンクリート造 |
裏路地に面したエントランスには、隣接建物の歩道上空地と高さを揃えた開放的なピロティを設け、都市に心地よい余白と、にぎわいの起点となる場を生み出している。
エントランスでは2種のタイルと、繊細に色調変化させたアルミ複合板で「CORD柄」を表現。
柔らかなライティングと素材の質感が高級感を演出し、街並みに調和しつつブランドの品格を静かに伝える空間とした。
エレベーターホールには、都市とブランドの関係性を表現したコード柄のアルミ複合板を壁面に採用。
都市の構成要素と企業ロゴをアルゴリズムで解析し導き出した「コード柄」を、ALCパネルに特殊塗装で描写。機能性と意匠性を兼ね備えたファサードが街とブランドの個性を融合させている。
