社会学を研究する大学教授のための二世帯住宅である。本計画では、第一子の誕生を契機に、親世帯と子世帯の関係性をあらためて再構築することをテーマとした。三つの切妻屋根をわずかにずらして配置することで、それぞれのボリュームが独立性を保ちながらも互いに緩やかに呼応する構成とした。このずれが生み出す中間的な外部空間は、両世帯の視線や動線を柔らかくつなぐ緩衝帯として機能し、空間的な文節化が新たなコミュニケーションの関係性を促している。外装は中央のボリュームをモルタル塗り、両側をガルバリウム鋼板仕上げとし、異なる素材の対比によって、生の力強さと内部空間の繊細さを際立たせた。内部では家具・建具・天井材にすべてラワン合板を採用したが、ラワンには赤材・白材・灰材が混在し、木目も直線的なものから複雑に曲がるものまで多様であるため、そのまま用いると赤白灰が入り混じったパッチワーク状となり、雑然とした印象になってしまう。そこで、白ラワンを天井に、赤ラワンを家具・建具に使い分け、素材の個性を秩序立てながら全体の統一感を確保した。施工者と家具職人の緊密な協働により、繊細さと一体感を兼ね備えた空間を実現している。
DATA
| 所在地 | 千葉県流山市 |
|---|---|
| 用途 | 二世帯住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2014.12-2015.6・2015.9-2016.3 |
| 敷地面積 | 195.33㎡ |
| 建築面積 | 84.47㎡ |
| 建蔽率 | 85.95% |
| 延床面積 | 171.67㎡ |
| 容積率 | 85.95%(200%) |
| 階数 | 地上2階 ロフト付 |
| 構造形式 | 木造、布基礎 |