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TRIAD OF ROOFS NAGAREYAMA

  • 木造
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社会学を研究する大学教授のための二世帯住宅である。本計画では、第一子の誕生を契機に、親世帯と子世帯の関係性をあらためて再構築することをテーマとした。三つの切妻屋根をわずかにずらして配置することで、それぞれのボリュームが独立性を保ちながらも互いに緩やかに呼応する構成とした。このずれが生み出す中間的な外部空間は、両世帯の視線や動線を柔らかくつなぐ緩衝帯として機能し、空間的な文節化が新たなコミュニケーションの関係性を促している。外装は中央のボリュームをモルタル塗り、両側をガルバリウム鋼板仕上げとし、異なる素材の対比によって、生の力強さと内部空間の繊細さを際立たせた。内部では家具・建具・天井材にすべてラワン合板を採用したが、ラワンには赤材・白材・灰材が混在し、木目も直線的なものから複雑に曲がるものまで多様であるため、そのまま用いると赤白灰が入り混じったパッチワーク状となり、雑然とした印象になってしまう。そこで、白ラワンを天井に、赤ラワンを家具・建具に使い分け、素材の個性を秩序立てながら全体の統一感を確保した。施工者と家具職人の緊密な協働により、繊細さと一体感を兼ね備えた空間を実現している。

【KJ 2018.12 掲載】

【architecturephoto 2016.11 掲載】

DATA

所在地 千葉県流山市
用途 二世帯住宅
設計期間・監理期間 2014.12-2015.6・2015.9-2016.3
敷地面積 195.33㎡
建築面積 84.47㎡
建蔽率 85.95%
延床面積 171.67㎡
容積率 85.95%(200%)
階数 地上2階 ロフト付
構造形式 木造、布基礎

住宅街に溶け込む、普遍的な佇まい

計画地は、ベッドタウンとして整った住宅が建ち並ぶ、典型的な住宅街に位置している。本住宅では、周囲から際立つことよりも、街の風景の一部として自然に溶け込むことを大切にした。あえて強い主張を避け、普遍的で落ち着いた家のかたちを選ぶことで、時間が経っても違和感のない佇まいをつくっている。周囲の環境と穏やかに調和しながら、住まいとしての安心感と親しみやすさを備えた住宅を目指した。

連立する三角屋根

3つの切妻屋根をわずかにずらして配置し、その間に生まれたボイドから光が貫入することで、奥行きのある豊かな住環境を形成した。屋根の連なりと空隙が生む立体的な奥行きは、住まい全体に穏やかな距離感をもたらし、二世帯が心地よく共存できる柔らかな空間をつくり出している。

天井高さが異なる空間が繋がる2階リビング。奥からは光が伸びる。

三角屋根が生み出す、伸びやかなリビングダイニング

三角屋根の形状をそのまま空間に取り込んだ2階のリビングダイニングは、この住まいの中心となる場所である。屋根なりの天井によって生まれる高さと広がりが、室内に明るさと開放感をもたらしている。あわせて、日々の使いやすさを重視したキッチンを配置することで、家族の時間が自然と集まる生活の場とした。空間の心地よさと実用性を両立させた、暮らしの核となるリビングダイニングである。

空間を支え、安心感を生む大断面ジョイスト梁

ズレが生み出す環境と風景

オーソドックスな家型ボリュームを中央で押し出すことで生まれたズレとボイドが、二世帯間に適度な距離感をつくり出す。外部空間としてのボイドは、光と風を取り込みながら、両者の生活を緩やかにつなぐ緩衝帯となり、日常に多様な風景と環境的豊かさをもたらしている。

ズレによるボイドは適度な距離を演出

ガルバリウム鋼板と左官仕上げの組み合わせは経済合理性に配慮

柔らかく光を取り込む天井

1階の中庭に向いたリビングダイニングでは、ジョイスト梁を現した天井が、上部からの光を柔らかく拡散し、空間全体に穏やかな明るさをもたらす。梁の rhythm が奥行きを強調しつつ、外部の緑とつながることで、住まいながら自然に近い心地よい生活環境を形成している。

構造体が内装にもなる1階リビングダイニング。

統一感のある素材デザイン

色味や木目にばらつきのあるラワン合板を丁寧に選別し、天井・壁・建具へと部位ごとに適切に使い分けることで、素材の個性を秩序立てながら空間全体の統一感を生み出した。赤・白・灰といったラワン特有の幅広い表情を活かしつつ、雑然と見せない高度なマテリアルコントロールにより、繊細で一体的な室内デザインを実現している。

緻密な素材コントロールによる内装デザイン。

ボイド=外部が貫入し、生活に季節の変化を取り込む

平面的に一部を欠き込むように設けたボイド空間は、外部と内部のあいだに位置する中間的な存在として、住まいの中に豊かな環境をもたらしている。完全な屋内でも屋外でもないこの空間は、光や風、雨音、季節ごとの気配をやわらかく取り込み、日々の生活に自然の変化を感じさせる役割を担う。視線や動線にゆるやかな広がりを与えることで、住空間全体に奥行きとリズムを生み出し、家の中にいながら外とのつながりを意識できる構成とした。

縦方向に設けられた窓から印象的な光を取り込む

ラワンの造作家具を中心として、素材のメリハリをつける

光が差し込む廊下は贅沢なシークエンスを生む

暮らしが滲む、閉じすぎない水平開口

夕暮れ時、室内の光に照らされて水平に伸びる窓がファサードに静かに浮かび上がる。昼間とは異なる表情を見せる外観は、住宅としての落ち着きを保ちながら、街にやわらかな気配を添えている。水平窓は内部に均質な光を導き、外部からの視線を抑えつつ、夜の住まいの輪郭を穏やかに際立たせる要素として機能している。

夕景ファサードに浮かぶ水平窓

角に設けた水平窓がつくる、開放的な仕事場

建物の角に設けた二面の水平窓が、書斎に大きな開放感をもたらしている。サッシの高さを抑えた計画としながらも、視線が横方向へ広がることで、室内にいながら周囲の環境とのつながりを感じられる空間とした。外部の光や景色を程よく取り込みつつ、集中しやすい落ち着いた環境を確保し、仕事場として心地よく使える書斎を実現している。

角に設けられた水平窓は開放感とプライバシーの両立を図っている

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