渋谷駅周辺再開発の一環として、渋谷ストリームから渋谷川沿いの遊歩道再整備へと連続するように計画された、旧東横線渋谷駅の建て替えプロジェクト「渋谷ブリッジ」内の保育園計画である。旧駅舎の記憶を継承する細長い建物形状を前提に、体格や運動量の異なる0~5歳の子どもたちが、それぞれに応じた距離感や居場所を選べるようにしながら、多様な学びが生まれる空間へと展開することを主題とした。また、渋谷川沿いには人々の賑わいが日常的に生まれることが想定されるため、外部の気配と適度に関わりつつも、園児が安心して過ごせる保育環境を確保する必要があった。
そこで私たちは「空中に浮いた保育園」というコンセプトのもと、遊歩道から連続する1階のピロティ空間を地域に開き、その沿いにギャラリーやカフェを配置して賑わいを受け止め、街の活動が途切れずにつながる計画とした。その上で、より落ち着いた環境が求められる保育園を2・3階に配置し、都市の活気を足元で受け止めながら、上階に子どもたちの安心できる居場所と学びの場を確保する構成としている。
【新建築 2018年11月号 掲載】
【建築ジャーナル 2018年12月号 掲載】
【商店建築 2019年4月号 掲載】
企画・監修:number of design and architecture
内装コーディネート+可動家具デザイン:設計事務所ima
DATA
| 所在地 | 東京都渋谷区 |
|---|---|
| 用途 | 保育園 |
| 設計期間・監理期間 | 2017.03-2018.04・2018.04-2018-07 |
| 敷地面積 | 724.29㎡ |
| 建築面積 | 530.16㎡ |
| 建蔽率 | 73.20%(86.56%) |
| 延床面積 | 1226.36㎡ |
| 容積率 | 240.00% |
| 階数 | 地上3階 |
| 構造形式 | S造 |
緩やかに分節された保育室
2・3階の天井には連続する木梁を設け、梁間にネット状の素材を張り、透ける幕や布を吊るして空間を緩やかに分節した。ネットは照明や設備を包み込みながら天井面を柔らかく見せ、安心感のあるスケールを与えている。幕は視線を遮り切らず領域感だけを生むため、保育者の見守りやすさを保ちながら、子どもが安心して選べる“小さな居場所”を点在させられる。年齢に合わせて天井のスケール感を調整したり、制作物や季節の飾りを梁やネットに吊って立体的に展示したりすることで、細長い空間を3次元的に使う仕組みとした。床の素材や色の切替え、可動什器、木製の登り遊具やテント等と組み合わせ、遊び・集中・対話が自然に切り替わる風景をつくり、細長い室内の中に多様な学びの場が生まれることを期待して設計を行った。