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TOYO Residence

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  • 鉄筋コンクリート造
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本計画では、敷地北側の交通量が多く、歩行者が行き交う永代通りと、敷地南側に広がる洲崎川緑道という豊かな自然環境との異なる環境をつなぐ建築のあり方を模索した。ファサードの大きなテーパーのある矩形フレーム〈Green Axis Frame〉は、その象徴的な装置である。フレームは単に外観の輪郭を形成するだけでなく、永代通りと奥の緑道との関係性を感じさせる“都市のゲート”として機能する。均質な街並みの中に、奥行きと方向性をもった陰影が生まれ、通りに対して建物が積極的に参加する姿勢を示している。

フレーム内部にはバルコニーと居住機能を重ね、都市の喧騒に対して柔らかい緩衝帯となる層を構成した。住戸にとっては外部環境を穏やかに受け入れる深い“縁側”となり、街に対しては活動の気配がにじむ柔らかな界面となる。1階には店舗を設け、通りの賑わいを生活圏へ自然に取り込む計画とした。

バルコニーが全面的に出てくるファサードには、シャープな軒先と手摺の表現によりシンプルながら重厚感がありそれでいて都市的な洗練された印象をもたせた。

屋上には緑豊かなガーデンを配置し、北側にはスカイツリーや隅田川花火を望む開放的な眺望を確保。都市にありながら四季と風景を享受できる、環境と調和した新しい都市住宅の姿を提示している。

DATA

所在地 東京都江東区
用途 集合住宅、物販店舗
設計期間・監理期間 2023.05-2026.02
敷地面積 838.53㎡
建築面積 602.17㎡
建蔽率 71.81%
延床面積 6409.91㎡
容積率 598.48%
階数 地上14階
構造形式 鉄筋コンクリート造

シャープな軒先と手摺の表現によりシンプルながら重厚感がありそれでいて都市的な洗練されたファサードデザイン

集合住宅のファサードは、多くの場合バルコニーが大きな面積を占め、その結果として避難器具や雨樋、設備機器が表面化し、都市景観を乱してしまう課題を抱えている。本計画では、その問題を“構成をシンプルに整える”というアプローチで解決することを試みた。

まず、バルコニーの奥行きを2m確保し、深い陰影を生み出すことで設備機器を視線から自然に後退させた。十分な奥行きがもたらす影の層が、実用的な要素を内包しながらも、ファサード全体に静かな表情を与えている。また、スラブ先端は薄くシャープに仕上げ、軽快な水平ラインを際立たせた。バルコニー手摺には細身のルーバーとガラスを組み合わせ、精度の高いディテールで軽やかな連続性をつくり出している。

細部わたる設計敵配慮によって構造体の持つ重量感を軽減させながら、都市的な洗練されたファサードデザインを目指した。

永代通りからファサードを見る

都市に開く、端正な“迎えのフレーム”

物販店舗のエントランスは、通りからの視線と人の流れを自然に引き込むため、建物正面に大きなテーパーをかけたフレームを設け、誘引性と印象性を高めている。シャープに収めたサッシラインが水平・垂直の構成を際立たせ、店舗の透明感と開放感をより強調している。

前面には四季を感じられる豊かな植栽を配置し、都市におけるショップ入口としての“鮮やかな装い”をつくり出した。緑の量感が硬質なフレームを柔らかく受け止め、歩行者の視線を心地よく店舗へと導く。

また、物販店舗のベントキャップはルーバーの裏側に巧みに隠し、雑多な設備機器が表面化することを避けた。これにより、店舗入口が持つ端正さと一体感が保たれ、街路景観に対しても静かな整いをもたらす計画都市ている。

誘い込み、整える。テーパーが導く店舗ファサード

光と影がつくる静謐のエントランス

エントランスは、余計な要素をそぎ落としたシンプルな構成としながらも、石材やテクスチャーの異なる素材を丁寧に組み合わせ、空間そのものが持つ質感を最大限に引き出した。壁面の重厚なマテリアルに対し、天井には控えめなダウンライトとライン状の間接照明を配し、光が素材に触れることで生まれる陰影と輝度差が、空間に静かな豊かさと緊張感を与えててくれることを期待している。

ニュートラルに整えた壁面には、アートピースを設置し、空間のアクセントとなる“図”としての存在感を与えた。落ち着いた素材の“地”との明確な対比をつくることで、空間の奥行きや動線の方向性が自然に導かれ、住まいの世界へと移ろうプロローグとしての役割を果たしている。

光と素材の調和により構成されたこのエントランスは、華美さを避けながらも記憶に残る心地よさを持ち、訪れる人をやわらかい緊張感とともに迎え入れる場となることを目指した。

あらゆる素材をによる調和が生み出す静謐な集合住宅エントランスホール

エレベーターホール

住戸階屋内廊下のエレベーターホールデザインはエントランスデザインを踏襲し、統一感のある空間体験を演出した

屋内廊下はダウンライトによるスカラップを演出的に用いて印象深い空間を目指した

Above the City, Beneath the Sky ― 都市の上、空の下で。

屋上庭園は、喧騒から一歩離れ、都市の中にありながら空と緑をもっとも近くに感じられる場所として計画した。
デッキの周囲には、多様な樹種を組み合わせた立体的な植栽を施し、四季ごとに異なる彩りと表情が現れるよう構成している。昼間は風に揺れる葉の影が心地よいリズムをつくり、夕暮れ以降は足元からのアッパーライトが枝葉を照らし出し、夜景と溶け合う幻想的なシルエットを浮かび上がらせる。
石を積んだガビオンテーブルや自然素材を用いたファニチャーは、屋上という人工的な場に“地面の質量”をもたらし、都市と自然の境界を和らげる役割を果たす。周囲のルーバーとガラスは視線を調整しながら風景を切り取り、空と街をつなぐフレームとして働く。
昼と夜、季節と季節、人と風景がゆるやかに交わるこの屋上庭園は、暮らしに新しい余白と豊かさをもたらすことを期待している。

植栽と照明により浮遊感のある安らぎの空間を創出

空を纏い、風と夜景に包まれる屋上庭園

高密度な都市型集合住宅では、階高をギリギリまで圧縮し、住戸を細かく積層せざるを得ないため、内部で大きな開放感を得ることは難しい。本計画では、その閉塞感を補い、むしろ都市に暮らす価値へと転換するために、屋上に広がる庭園空間を設けた。

ここでは、視界が一気に広がり、都市の中では稀有な“圧倒的な開放感”を体感できる。ガラス手摺は植栽を前景に取り込みながら、その向こうに広がる東京の夜景を滑らかに映し出し、都市と自然が重なる風景をつくり出している。

デッキには多様なファニチャーを配置し、ラウンジのようにくつろげる空間として構成した。昼間は風と光が流れる爽やかなテラスとして、夜には植栽を照らす光が足元に浮遊感を与え、静かで豊かな時間を演出する。

都市の喧騒の上にひらかれたこの屋上は、住まい手が心をほどくための“空のリビング”として、内側に閉じがちな集合住宅に新たな質をもたらしている。

都市の上で空を感じ、自然とともに思考を解きほぐすような空間性を目指した

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