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NABEYOKO BUILDING PROJECT

  • 物販店舗・飲食店
  • 病院・クリニック
  • 賃貸集合住宅
  • 鉄筋コンクリート造
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中野区・鍋横商店街に面して計画された本プロジェクトは、商業・医療・住居という異なる都市機能を積層し、街と建築の関係性を更新する複合建築である。1階には物販店舗を配置し、商店街がもつ日常的な賑わいを建築内部へと引き込み、通りの活性化に寄与する構成とした。2~3階には複数の診療科を集約したメディカルモールを計画し、来訪者が一か所で医療サービスを受けられる高い利便性を確保している。4~10階には賃貸集合住宅を配置し、低層部の賑わいから適度な距離を取ることで、静けさ・プライバシー性・眺望を兼ね備えた住環境を実現した。
敷地内には用途地域境が存在し、西側には第一種住居地域による厳しい日影規制が課されている。これに対し、低層部に基壇を設けることで規制を回避しつつ、収益性の高いテナント専有面積を最大化。基壇部分は法規上必要な空地や避難スペースとしても機能し、法規性・利便性・空間の快適さを統合している。
日影規制により削り取られた高層部の不整形なボリュームは、立面に配したヴァーティカルフィンによって縦方向の連続性を与え、弱点を特徴へと転換。規制形状を感じさせない端正で引き締まったファサードと、都市に対してシャープな存在感を備えた建築を目指した。

DATA

所在地 東京都中野区
用途 集合住宅、物販店舗、クリニック
設計期間・監理期間 2022 ‐ 2023
敷地面積 592.24㎡
建築面積 404.30㎡
建蔽率 92.60%
延床面積 2183.88㎡
容積率 325.25%
階数 地上10階
構造形式 鉄筋コンクリート造

法規制を美しく昇華した都市型ファサード


日影規制により上層部が大きく削られる敷地条件の中、その不整形なボリュームを弱点ではなく特徴へと転換するため、立面にはヴァーティカルフィンを配置し、縦方向の連続性で建物全体をまとめ上げた。これにより、規制形状を感じさせない端正で引き締まったファサードを実現するとともに、都市的なシャープさを強調している。高層住戸のバルコニーは白いスラブラインを際立たせ、水平のリズムを強調することで、空へ抜ける軽快な表情をつくりだした。低層の商業部にはハイサッシを採用し、歩道との視線を柔らかくつなぐ透明性の高い表情を形成。街並みと調和しながら、建物の存在感を自然に際立たせている。

制約が形づくる建築の足元


敷地西側に第一種住居地域が隣接し、厳しい日影規制が課される条件に対して、本計画では低層部に基壇を設けることで建物全体のボリュームを整理した。基壇を低く抑えることで西側住宅地への圧迫感を軽減しつつ、上部に必要な床面積を確保し、収益性の高いテナント専有面積の最大化を実現している。基壇部分は、法規上求められる空地や避難スペースとしても機能し、単なる規制対応にとどまらない多義的な空間として計画した。さらにピロティ駐車場を組み込むことで、法規制によって生まれた建物形態を無駄なく建築計画へと昇華し、法規性・利便性・空間の快適さを統合した構成としている。

二つの顔をもつエントランス


商業・医療・住居が積層する複合建築として、本計画では用途ごとに異なる性格をもつ二つのエントランスを設けた。街に開かれたテナント用エントランスには、白く上品にきらめく47角タイルを採用し、通りに対して明るく清潔感のある表情をつくり出している。鍋横商店街を行き交う人々を自然に引き込み、施設全体の誘引性を高める構えである。一方、集合住宅用エントランスは鉄扉を用い、杉板型枠による打放しコンクリートの壁面で構成。無骨さの中に上質さを感じさせる静かな佇まいとし、外部の賑わいから切り替わる私的な領域への入口として、落ち着きと安心感を演出している。用途の違いを明確に表現しながら、一体の建築としての品格を保つことを目指した。

クリニックモールエントランスと集合住宅エントランス

静けさへ導く住居の入口


商業・医療の賑わいから切り替わる集合住宅側のエントランスは、鉄扉をくぐることで外部とは異なる落ち着いた空気感へと導かれる構成とした。内装にはレンガ調の壁面と左官調の仕上げを組み合わせ、素材の重なりによって奥行きと陰影を生み出している。ガラス越しに映り込む壁面が空間に広がりを与え、限られた面積の中でも静謐で上質な印象を形成する。照明は必要最小限に抑え、素材感が際立つ穏やかな明るさとすることで、住まいへと向かう心を自然に整える装置とした。外に開かれた商業空間とは対照的に、居住者だけのための静かな領域として、安心感とプライバシー性を丁寧に表現している。

安心感を導く医療動線


2~3階に計画したクリニックモールの廊下は、来訪者が安心して歩ける医療動線として、落ち着きと明快さを重視して設えた。壁面には色味を抑えた素材を用い、視覚的なノイズを減らすことで、初めて訪れる人でも緊張感を和らげられる空間としている。中央に配置したボリュームは各クリニックのサインや設備を集約し、動線を整理すると同時に、回遊性と分かりやすさを高める役割を担う。床には温かみのある木調を採用し、無機質になりがちな医療施設にやさしい表情を付加した。突き当たりのFIXガラスからは鍋横商店街を一望でき、内部にいながら街とのつながりを感じられる開放的な空間となっている。また外部からはその窓を通して建物内部の気配や賑わいが伝わり、街に対してもやわらかな表情をにじませている。

日常に彩りを添える廊下

共同住宅の中廊下は、住まいへと向かう毎日の生活動線である一方、単調になりやすい空間でもある。本計画では、その通過空間に留まらない価値を与えるため、各階ごとに異なるアクセントウォールを設けた。エレベーターを降りた先に広がる壁面には、草花や鳥をモチーフとした意匠性の高い壁紙を配し、階ごとに異なる表情をもたせている。無機質になりがちな共用部に視覚的な奥行きと物語性を加えることで、住戸へと向かうひとときを穏やかに切り替える装置として機能させた。日常の中でふと目に留まる情景が、暮らしに小さな潤いと愛着をもたらすことを意図している。

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