既存病院の診療機能を一切停止させることなく、約4年という長期にわたって段階的に建て替えを行うことを前提とした病院再整備のコンペ案である。医療体制の継続を最優先条件とし、新棟の建設と既存棟の活用を並行させながら、各フェーズで必要となる診療機能を途切れなく維持する計画とした。工事期間中における患者・医療スタッフ・搬送動線が交錯しないよう、仮設を含めた動線計画を精緻に検討し、機能移行のタイミングについても段階ごとに明確に整理している。
各建設段階では、その時点で求められる医療行為の流れや部門間の関係性を丁寧に読み解き、診療の質や安全性を損なうことのない環境を確保することを重視した。既存棟と新棟が一時的に併存する期間においても、利用者に混乱を与えない明快な構成とし、スタッフの業務負荷が過度に増大しないよう配慮している。
病院が日々の診療を続けながら、より安全で快適な治療環境へと段階的に更新されていくプロセスそのものを建築計画として捉え、医療機能と建設行為を両立させる持続的な病院再生モデルの実現を目指した提案である。
DATA
| 所在地 | 東京都墨田区 |
|---|---|
| 用途 | 病院 |
| 設計期間・監理期間 | 2004-07-2006.01 |
| 敷地面積 | 2898.03㎡ |
| 建築面積 | 1563.88㎡ |
| 建蔽率 | 54.26% |
| 延床面積 | 6448.45㎡ |
| 容積率 | 222.51% |
| 階数 | 地下1階 / 地上6階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |
ー計画の流れー
動線と視線を整理した待合空間の内装計画
外来患者や付き添いの来院者が多く滞在する待合空間において、混雑時でも落ち着いて過ごせる環境を整えることを重視している。カウンターや壁面を連続的に配置することで動線を明確にし、受付・待合・診察エリアの関係が直感的に把握できる構成とした。天井高さや仕上げの切り替えによって空間にリズムを与え、単調になりがちな医療空間に奥行き感をもたらしている。自然光が奥まで届く計画とし、照明と併用することで時間帯に左右されない安定した明るさを確保した。診療機能を維持しながら段階的な更新が行われる過程においても、利用者にとって分かりやすく、安心して滞在できる内装空間を目指している。
受付から待合へ連続する、わかりやすい内装構成
外来患者が最初に接する受付から待合空間にかけて、視線と動線が自然につながる内装計画としている。カウンターや間仕切りは高さや配置を整理し、受付機能を明確に示しながらも、空間全体に圧迫感を与えない構成とした。奥へと視線が抜けるレイアウトにより、来院者が現在位置や進行方向を直感的に把握できるよう配慮している。素材や色調は過度な装飾を避け、落ち着いたトーンで統一することで、医療施設に求められる清潔感と安心感を確保した。段階的な建替え期間中においても、診療動線の切り替えに柔軟に対応できる内装計画とし、利用者・スタッフ双方にとって使いやすい空間を目指している。