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JINNAN-PROJECT

  • 物販店舗・飲食店
  • 鉄骨造
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本計画の敷地は、賑わいのある渋谷駅周辺の喧騒から少し離れ、落ち着いた中にも人々の活発な雰囲気が混じるロケーションにある3mの隅切りを抱えた五角形という、街区の角に生まれる“歪み”をそのまま受け止める形状である。敷地いっぱいに建てればもちろん効率的だが、輪郭をなぞるだけの外観はどこにでもある汎用性に回収されてしまう。そこで本計画では、隅切りに生じる二つの角に対して建物の直角をあえて合わせ、都市のルールに対して凛とした“直角の芯”を立てた。隅切り面は単なる欠けではなく、街路からの視線が最初に触れる“前庭”として読み替え、そこに入口の気配と上階のずれを重ねて、角地の瞬間に立ち止まる理由を与える。

DATA

所在地 東京都渋谷区
用途 飲食店、サービス店舗、物販店舗
設計期間・監理期間 2024.11-2025.05
敷地面積 98.23㎡
建築面積 82.52㎡
建蔽率 84.01%
延床面積 533.43㎡
容積率 489.19㎡
階数 地上8階
構造形式 鉄骨造

concept

敷地形状と周辺環境を柔軟に取り込んだ外観デザイン

位相のずれた"ハコ"が積み重なったファサード


各階のガラスの箱を少しずつずらしながら積層させることで、建物全体はひとつの量塊ではなく、利用者の視線や動線を誘導する特徴的な複数のヴォリュームとして現れる。ずれが生む庇や空間の溜まり、ガラス面の奥行きは、公園通りの歩行者を引き込み、テナントの表情を街へにじませる装置となる。ガラスの箱の角部には照明器具を仕込み、夜間には輪郭が光の稜線として浮かび上がりこの建物を強く浮かび上がらせる。

ファサードに呼応した、利用者を引き込むアプローチ

大通りから人々を引き込むエントランス


エントランスも外観と調和した光の”ハコ”が柔らかく浮かび上がるようなデザインとし、大通りから人々を呼び込む印象的な入口の設えとした。床に仕込まれたライン照明を辿り縦ルーバーに縁取られた入口をくぐると、光の溜まりとしてのホールが現れ、階段・EVへと視線が収束する。各階の踊り場は、テナントの個性が映えるエントランス空間として整えた。

光を纏った”ハコ”状のエントランス

光の筋が利用者を自然と建物内部へ向かい入れる

テナントの個性を引き出すエントランス

"ハコ"をずらすことで生まれる効果


容積率を満たし、収益性の高い商業テナントビルとしての合理性を確保しつつ、ファサードは“ずれ”を主題にした立体的なサインとして計画した。ダークトーンのフレームが輪郭を締め、階ごとに現れるキャンチレバーが街に小さな緊張感をつくる。透明なガラスの層と、縦ルーバーやメッシュの陰影が重なり、昼は空を映して軽やかに、夜は内部の温かな明かりとともに節度ある賑わいを返す。さらに、ずれによって生じるコーナーは各テナントにとって“借景の窓”となり、同じ床面積でも体験の価値を上げることを意図した。

ワイヤーフレーム状に仕込まれた照明によって"ハコ"形状を強調

豊かな眺望を望む

屋上デッキ


代々木公園方向の抜けた眺望を都市の資産と捉え、屋上にはデッキを設けた。ルーバー天井の下には空と樹々、遠景の光を取り込む“街の縁側”として、利用者に外部へ開く居場所を提供する。日中は風と光が巡り、夜は都市の灯りが背景となって会話の輪郭が際立つ。五角形の制約を契機に、ずれと直角がつくる秩序、そして眺望と光がつくる余白を重ね、街に記憶される小さなランドマークを目指した。

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