本計画は、超高層共同住宅を「都市スカイラインに浮かぶ垂直の街」と捉え、単一の反復が支配しがちな高層住宅に、生活の多様性がにじむ揺らぎを与えることを主題とした。外観はガラスの外皮をベースに、バルコニーや共用廊下、室内のボリュームをランダムにずらし、重ね合わせることで、層ごとに異なる陰影と奥行きを形成する。均質なカーテンウォールの“面”として完結させず、立体的なズレが生む隙間や重なりを通して、内外の気配が微細に交換されるファサードを目指した。昼は反射と透過の間で街並みを映し込み、夜は居住の灯りが点在し、時間の移ろいに応じて表情が更新されていく。
計画の実現にあたっては、総合設計制度や開発許可申請等のスキームを組み合わせ、一般的な法規の枠組みを越えて、柔軟なボリュームコントロールと公開空地の質の両立を図った。行政協議を含む初期の企画立案から、事業性・収支・用途構成の検討、関係者との調整まで一連のプロセスに中心メンバーとして携わり、設計・制度・事業を横断しながら計画条件を統合的に整理している。結果として、居住者の日常の変化が時間とともにファサードを更新し続けるような、動的な建築像を超高層スケールで実装することを構想した。
DATA
| 所在地 | 東京都渋谷区 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2008.02-2013.11 |
| 敷地面積 | 1049.95㎡ |
| 階数 | 地上17階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |
ファサード
外観はガラスの外皮をベースに、バルコニーの張り出しやガラス手摺の奥行き、共用廊下の開口、室内ボリュームのずれを重ね合わせることで、立体的な凹凸と奥行きを生み出している。均質なカーテンウォールの“面”として成立させるのではなく、層ごとに異なる陰影・反射・透過の状態をつくり、遠景では透明な量塊として都市に溶け込み、近景では生活の断片が見え隠れする二重のスケールを獲得した。ずれや重なりが生む隙間は、視線や風、光の経路となり、ファサードを単なる外装ではなく、内外の気配が交換される「媒介」として機能させる。時間帯や季節により影の濃淡が変化し、夜には点在する灯りが居住の分布を描き出すことで、建築の表情が日々更新されていく。