本計画は、躯体まで立ち上がっていた従前建物を解体し、あらためて計画を行った住宅の建て替えプロジェクトである。
従前計画にて敷地全体に打設されていた地盤改良杭の撤去が困難であったため、既存の鋼管杭を活用しつつ新たな計画を進めることとした。
計画地は依頼主がかつて暮らしていた実家であり、住まいとしての記憶が幾層にも積み重なった場所である。その土地と住宅に宿る記憶を呼び覚ますように設計を行い、子どもの頃の体験に紐づく床レベルや天井高さを可能な限り再現した。さらに中庭を設けることで、光と風が家中に行き渡る住環境を志向している。
また、建物を取り囲むように四季の移ろいを感じられる植栽を計画し、依頼主のイメージを反映した豊かな外部環境をつくり出した。
既存杭によるフットプリントや重量の制約は厳しいものであったが、その条件を受け止めつつ、依頼主の想いをかたちにできたと信じている。
DATA
| 所在地 | 東京都中野区 |
|---|---|
| 用途 | 個人住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2021.05-2024.08 |
| 敷地面積 | 549.74㎡ |
| 建築面積 | 262.13㎡ |
| 建蔽率 | 47.69% |
| 延床面積 | 422.55㎡ |
| 容積率 | 69.36% |
| 階数 | 地上2階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |
街とともに佇む新たな住まい
住宅街に建つ住まいとして、まず大切にしたのは周辺環境との調和である。
当初は依頼主の望む通り、石積の塀や2階のバルコニーを大きく張り出した計画としていたが、打ち合わせを重ねるにつれて、依頼主のキャラクターと家の性格が合わないのではないかと思い始めた。
夫妻の個性を象徴するように、過度に主張することなく、しかし埋もれることもない、穏やかで落ち着いた存在感を目指した。
大きな庇や水平ラインを強調した外観は、街並みに自然に溶け込みながら、家としての安心感と温かみのある佇まいを生み出している。
緑をまとった外構や柔らかな素材感が、日常の風景に溶け込みつつ、この場所ならではの住まいの表情をつくり出している。