中廊下型の単身者向け賃貸マンションである。
限られた容積の中で住戸数を確保しつつ収支バランスを最大化するため、各住戸は超コンパクト1LDKとしながらも、ファミリータイプに近い動線計画と収納量を確保したプランニングとしている。
寝室とリビングをゆるやかに分節することで、ワークとリラックスの切り替えがしやすい構成とした。外観は、想定する入居者層のライフスタイルや嗜好を分析し、白・グレー・黒を基調としたモノトーンの素材をアッセンブル。過度な装飾を排し、陰影とラインの強弱で表情をつくることで、都心で働く若い世代の感性に響く、シャープでありながら温度感のあるデザインを目指している。
DATA
| 所在地 | 東京都荒川区 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2020.02-2020.08・2020.12-2022.02 |
| 敷地面積 | 1155.31㎡ |
| 建築面積 | 551.85㎡ |
| 建蔽率 | 47.76% |
| 延床面積 | 2724.83㎡ |
| 容積率 | 189.84% |
| 階数 | 地上6階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |
建物の特徴
外観デザイン
鋭角的なフレームが切り取る、 素材の重層的なアプローチ
アプローチ空間を特徴づけるのは、鋭角に張り出した庇と、それに呼応する垂直のルーバーが織りなすダイナミックなフレーム構成である。打ち放しコンクリートの量塊感に対し、繊細なルーバーや硬質な石貼り、さらに奥に覗く光壁といった異素材を重層的に配置することで、空間に深い奥行きを与えている。
各素材が持つ固有のテクスチャは、ダウンライトによる陰影の中でその「ぶつかり合い」をより鮮明にし、エントランスへと向かう動線に緊張感と気品を付与する。
作為を抑え、素材自体の質感を対峙させる手法が、この建築の持つ「抑制された洗練」を象徴的に物語っている。
内観デザイン
マテリアルの交錯を深める光壁の演出
エントランス空間は、光壁、打放しコンクリート、大判タイル、そして木調のテクスチャという、性質の異なる四種の素材が直接的に交錯する構成を主眼としている。
作為的な装飾を排し、各素材をありのままにぶつかり合わせることで、空間そのものに自律的な秩序と「抑制された洗練」を付与した。
とりわけ、垂直に屹立するコンクリートの量塊と、柔らかな光を湛える光壁との対比は、空間に奥行きと緊張感をもたらしている。
素材同士の交わりが描く純粋な境界線は、居住者を都市の喧騒から切り離し、静謐な私邸領域へと導くための建築的装置として機能している。