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ENOKICHO PROJECT

  • 賃貸集合住宅
  • 鉄筋コンクリート造
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本計画は、国道沿いに建つ13階建て47戸の単身者向け賃貸住宅であり、地主の土地有効活用事業として企画立案から設計監理までトータルで手掛けたものである。事業の目的は第一に土地活用そのものであり、デザインはあくまでそのための手段と位置づけている。

基本計画には1年以上を費やし、綿密なマーケットリサーチを行った。全体事業費の策定、キャッシュフロー分析、銀行への金利打診、融資調達、返済計画のすべてをコーディネートし、それら事業戦略を最終的にデザインへと翻訳している。

ファサード全面に連続するバルコニーには、穴空き鋼板とフラット鋼板の二種類をランダムに配置し、都市のスケールに響くリズムと陰影をつくり出した。低層部では穴空き鋼板の割合を抑えることで、歩行者からの視線をやわらげ、生活のプライバシーを守る。上層に向かうほど穴空き鋼板を増やし、抜け感のある眺望と光の抜けを享受できる開放的な住環境とした。単調になりがちなタワー型住棟に、階ごとに表情の異なる織物のような外観を与え、都市で暮らすひとり住まいのための軽やかな居場所を目指している。昼夜で表情を変えるファサードが、街路にささやかなリズムを与える。

DATA

所在地 神奈川県川崎市
用途 共同住宅
設計期間・監理期間 2015.07-2016.06・2016.11-2018.02
敷地面積 330.14㎡
建築面積 236.69㎡
建蔽率 71.69%(100%)
延床面積 1842.77㎡
容積率 496.28%(496.92%)
階数 地上13階
構造形式 鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造

顧客ニーズからデザインをつくる


デザインありきではなく、徹底したマーケットリサーチが全ての起点である。近郊市場の動向から単身者・DINKS層に対象を絞り、彼らの嗜好を論理的に検証した。 単なる表層的な装飾や、エントランスだけの改修に留まる「名ばかりのデザイナーズ」とは決別する。本プロジェクトは、デザインそのものを客観的な価値を持つ「商品」として定義し直し、市場における真のデザイナーズマンションのあり方を提示するものである。

平面図


住戸名称には、「ショコラ」や「マフィン」など、各プランの内装テーマカラーに呼応したパンの名前を採用した。親しみやすくユニークなネーミングは、物件の印象を強く残すキャッチフレーズとして機能する。

また、1階には貸しトランクルームを誘致する戦略をとった。これにより、入居者は荷物を預けてコンパクトな住戸でも身軽で洗練された暮らしを実現できる。同時に、オーナーにとってはデッドスペースになりがちな1階から効率的に賃料収益を得られる仕組みとなっており、居住性と事業性の双方を高める工夫を凝らしている。

断面図

外観デザイン

開口率のグラデーションが描く、都市型住宅の表情


上階は眺望への開放性、下階はプライバシーへの配慮。階層ごとに異なる機能的要請に対し、バルコニー手摺の開口率を変化させることで応えている。この開口率のグラデーションがそのままファサードのデザインとなっており、実現にあたっては自在な調整が可能な特注手摺を用いた。


階層ごとの環境に応じ、バルコニー手摺の開口率を最適化した。上層階は眺望を、下層階はプライバシーを重視し、ZAM鋼板の配置パターンを綿密にスタディ。視線を制御するバリアブルな開口設計により、機能的な要請を満たしつつ、ファサードに独自のランダムなリズムと奥行きを与えている。

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