本計画は、総合設計制度を活用した老朽化マンションの建て替え計画である。敷地内に公共貢献としての公開空地を設けることで、容積率制限の緩和を受け、建て替え事業の実現性と居住環境の向上を両立させている。公開空地を敷地内に確保することで余剰床を創出し、都市計画によって定められた容積率を超える還元率を地権者にもたらす事業スキームとしている。これにより、地権者の合意形成を促進するとともに、事業の持続性を高める計画としている。公開空地は、地域住民や居住者が気軽に立ち寄れる公園のような空間とし、緑やベンチを備えた憩いの場として計画することで、半公共的な空間として都市に開放される。このような総合設計制度を活用した建て替え手法は、今後増加が予想される老朽化マンションの再生において、都市環境の質を高めながら更新を進める有効な建築手法として、今後主流になっていくと考えられる。
DATA
| 所在地 | 東京都渋谷区 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2014.08-2014.12 |
| 敷地面積 | 1182.40㎡ |
| 建築面積 | 503.31㎡ |
| 建蔽率 | 42.56% |
| 延床面積 | 9,999.59㎡ |
| 容積率 | 7296.90㎡ |
| 階数 | 地下1階、地上24階 |
| 構造形式 | RC造、制震構造 |
四方に開く住戸配置による敷地ポテンシャルを活かした統一デザイン
四方が開けた敷地条件を建築の可能性として捉え、そのポテンシャルを最大限に引き出すべく、住戸を東西南北の四方へと開く配置計画とした。各住戸は十分な採光と通風を享受でき、日常の快適性を高めるとともに、外部環境との穏やかな関係性を築いている。外観は素材感や色調、細部の納まりに至るまで統一し、バルコニーや開口部の水平ラインを丁寧に揃えることで、建物全体に一体感と落ち着きを与えた。周辺の街並みに対しても過度な主張を避け、均質で端正な佇まいをもって呼応することで、地域に静かに溶け込む建築を目指している。