本計画は、足立区綾瀬駅から徒歩10分程度に位置する、RC造14階建ての共同住宅である。
近隣は狭小な敷地が多い中、本敷地は比較的潤沢な面積を持つ敷地である。商業系と住居系の用途境が敷地中央にあり、東西で建築可能ボリュームに差があることから、必然的に道路から奥まった場所に配置計画が決定した。
綾瀬は駅前をはじめ、東綾瀬公園等の緑豊かなスポットが点在しており、それら周辺環境と一体的な緑化空間を実現したいと考えた。
建物周辺にループ状の大規模な植栽空間「Loop Garden」を設け、公園の緑を敷地内に引き込み、豊かな外部空間を創出している。
前面道路からエントランスまでは約10mの奥行きを取っており、街路の喧噪を緩やかに遮り、住居領域へと意識を切り替えるためのバッファゾーンとして機能している。アプローチには植栽や舗装の切り替えを施し、歩行のプロセスに変化を持たせることで、日常の動線に落ち着きと余白を与えている。建物に近づくにつれて視線が自然とエントランスへ導かれ、外部から内部へと段階的に移行する空間構成とすることで、都市の中にありながらも、静けさとプライバシーを感じられる住まいの入口を形成している。
建物のデザインにおいてはコンセプト「Loupe / Loop」に基づき、複数の要素を取り入れている。ファサードの一部にルーペをイメージした「Loupe Pattern」を採用し、周囲の景色を映し込み、建物の存在感を高めつつ都市の魅力を引き立てる。さらに、高層マンションでありながら「Scale Segment」の考え方により建物を住宅スケールに分節し、街並みへの圧迫感を軽減した。
これらにより公園と一体化するシンボルとして、地域との調和を図るものである。周辺環境と調和するよう、分節されたデザインを採用し、高層部へと洗練されたラインを伸ばすことで、エレガントな外観を実現した。
DATA
| 所在地 | 東京都足立区 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2023.12-2024.8・2025.10-2027.9 |
| 敷地面積 | 562.17㎡ |
| 建築面積 | 225.29㎡ |
| 建蔽率 | 40.08%(77.31%) |
| 延床面積 | 2129.01㎡ |
| 容積率 | 342.53%(343.28%) |
| 階数 | 地下0階 地上14階 |
| 構造形式 | RC造 |
Site Analysis
本計画地は商業地域と住居地域の用途境にまたがっており西側は高層建物、東側は低層の住宅が並ぶ。その立地ゆえ永続的な眺望を獲得できる。
居住者は都心に近い立地でありながら、高層階からは遠くまで広がる景色が一望できる。住民たちは日々の生活の中で、自分の目指す未来や目標を見据える。
「未来を見つめる高み」を持ちながら生活をする。
足立区綾瀬は、駅周辺を中心に都市的な成長を続けている一方で綾瀬全体で緑化が進み、特に東綾瀬公園を軸とした緑が弧を描くように広がっている。本計画地の周辺でも多くの緑が残されおり、計画敷地にできるだけ植栽を取り入れることは街と一体化する建築となるために必須条件だと考える。
Concept
本計画は、敷地が持つ「公園との一体化」という稀有な特性を最大限に活かし、「Loupe / Loop(ルーペ/ループ)」をテーマとしている。ルーペ(虫眼鏡)のように街の魅力や緑の景観をクローズアップし、都市の活力を引き立てるデザインを採用した。
同時に、建物をループ状の「Loop Garden」で包み込み、都市と自然がなめらかに繋がる動線と豊かな緑景を提供する。住まう人、訪れる人、そして地域住民にとって、公園の緑が日常生活に溶け込むような、都市と自然が融合した新しい居住のシンボルとなることを目指す。このデザインは、周辺環境と一体化しながら、洗練されたエレガントな空気感を生み出している。