老朽化した病院を、地域の中核医療施設として再生する全面建替え計画である。耐震化補助金を最大限に活用し、災害時にも医療活動を継続できる堅牢な構造としたうえで、外来・入院・リハビリ・管理部門を明快にゾーニングし、誰もが迷わない病院づくりを目指した。敷地全体では、救急車と一般車両、歩行者動線を分離し、安全でわかりやすいアプローチ計画とした。低層部には外来とリハビリテーション、高層部には病棟を積層させ、屋上には緑化テラスやリハビリ庭園を設けて、治療と癒やしが連続する環境を創出する。病棟階では、ナースステーションを中心に病室とスタッフエリアをコンパクトにまとめ、短い動線で行き届いたケアが提供できる平面計画とした。また、待合やラウンジには大きな開口部を設け、地域に開かれた明るい雰囲気をつくり出した。コンペ段階から病院法・建築基準法・消防法など関係法令をくまなく精査し、将来の増床や医療機器更新にも対応しうるスケルトン・インフィル型の計画とした。こうした全体整合を踏まえた提案が高く評価され、指名プロポーザルにおいて当選し、現在は竣工後すでに稼働している。最新の病院建築の知見を統合した、地域医療の新たな拠点となるプロジェクトである。
DATA
| 用途 | 病院 |
|---|---|
| 敷地面積 | 3,878.68㎡ |
| 建築面積 | 1,253㎡ |
| 建蔽率 | 32.30% |
| 延床面積 | 4,490㎡ |
| 容積率 | 115.76% |
| 階数 | 地上5階 |
| 構造形式 | RC造 |