銀座の中でも希少となりつつあるヒューマンスケールの街並みを残す本敷地は、ビル建設においては狭小地に分類されます。そのため、建物の間口に対して高さの割合が極めて大きい、他に類を見ない塔状比が求められるプロジェクトとなりました。
この条件を満たすため、本計画では既存建物の地下躯体を新築基礎の山留として活用するという、過去の資産を合理的に取り入れた構造手法を採用しております。歴史を継承しながら現代技術と調和させることで、過去と現在が共存する都市のあり方を建築的アプローチから体現した計画となっております。
また、間口の制約がある中でも銀座らしい品格と高級感を演出するため、エレベーターには全面ガラス張りの意匠を採用しております。透明性がもたらす軽やかさと開放感により、細長い敷地形状を感じさせない上質な体験を創出しています。
DATA
| 所在地 | 東京都中央区銀座４丁目 |
|---|---|
| 用途 | 料理店、物販店舗、飲食店、事務所 |
| 設計期間・監理期間 | 2023..12.01-2024.07.15 |
| 敷地面積 | 72.71㎡ |
| 建築面積 | 59.22㎡ |
| 建蔽率 | 81.46％ |
| 延床面積 | 495.27㎡ |
| 容積率 | 609.62％ |
| 階数 | 地上10階 |
| 構造形式 | 鉄骨造、場所打ちコンクリート造 |
銀座4丁目周辺 レンガ通りと裏路地 銀座の中心である銀座4丁目エリアは、江戸時代には「弥左衛門町」と呼ばれ、多くの江戸つづらや和菓子の店が軒を連ねるなど、「伝統」と「先進性」が共存するエリアです。 この地域は、江戸時代からの街区がそのまま残っているため、区画が非常に細かく分節されており、小規模なビルが多いのが特徴です。 また、銀座4丁目には「宝童稲荷神社」があり、裏路地が現在も参道として活用されるなど、街の土地や道路など足元には歴史が息づいています。
塔状比の算定上、間口を最大限に確保するため、1階の柱にはビルドボックスはしらを採用し、基礎は1.8mの深さまでSRC造といたしました。その下部にはRC造の基礎を連続して設け、建物重量を増すことで杭の引抜力に対抗できる構造としています。
