銀座二丁目、銀柳通りと並木通りが交差する角地に建つ本テナントビルは、日本舞踊の「舞」をコンセプトに、桜吹雪が舞う情景を建築として表現している。歌舞伎や芸能の賑わいを抱える銀柳通りと、洗練された大人の銀座を象徴する並木通りという二つの異なる都市のリズムが重なるこの場所を、一つの「舞台」と捉え、建築そのものが街と呼応しながら動きをまとう存在となることを目指した。低層部には、交差点に向かって大きく広がる蛇腹状に編み込まれたガラスサッシを採用し、舞手の衣装が翻るような軽やかな表情を与えると同時に、内部と外部を連続的につなげている。上層部のファサードには、細やかな分節と陰影を与え、風に舞う花びらのような揺らぎを生み出すことで、時間帯や視点の変化に応じて表情が移ろう建築としている。賑わいと静けさ、華やかさと奥ゆかしさが共存する銀座の交差点において、日本舞踊の美意識を現代的に翻訳し、街に新たな余韻と象徴性をもたらすテナントビルである。
DATA
| 所在地 | 東京都中央区銀座2丁目 |
|---|---|
| 用途 | 事務所、飲食店、サービス店舗 |
| 設計期間・監理期間 | 2024.07-2024.08 |
| 敷地面積 | 216.23㎡ |
| 建築面積 | 179.51㎡ |
| 建蔽率 | 85.92% |
| 延床面積 | 1825.31㎡ |
| 容積率 | 798.85% |
| 階数 | 11階 |
| 構造形式 | 鉄骨造、場所打ちコンクリート造 |
周辺環境と調和する、都市の表情をつくる立面構成
銀座二丁目・柳通計画は、都市中心部の特異な文脈に応答することを設計の出発点とした。敷地を取り巻く周辺建物のスケール感や通行動線を読み解きつつ、街並みに対して過度な主張を避けながらも確かな存在感を持たせるファサードを構成している。縦方向のプロポーションを基調としつつ、ガラスと金属パネルの組み合わせによって、透明感と質感を両立させた外観デザインとした。都市の喧騒の中でも落ち着いた佇まいを維持しつつ、内部の機能性や採光・視認性を高めるための細部の検討も徹底している。都市の一角に溶け込みながらも、そこに働き、暮らす人々の快適性を支える建築である。