ごく一般的なオフィスの応接間を、豪華絢爛な商談の舞台として再生することを目指した計画である。日常的な平凡な一室を、非日常性と高揚感に満ちた「迎賓空間」へと格上げすることをテーマとした。
この部屋に訪れる来客の多くは、大企業の重役や要職にある人々である。その特性を踏まえ、施主からの強い要望である「金」のイメージをベースに、重厚でクラシカルなアンティークスタイルの内装を提案した。艶を抑えた金色のモールディングや、深い色合いの木質パネル、重ね織りのカーペット、シャンデリアの柔らかな光が織りなす陰影によって、商談の時間そのものが特別な演出となるような空間づくりを意図している。また、過度な装飾に陥らぬよう、壁面には落ち着いたテクスチャーの仕上げを採用し、外部の喧騒を遮る重厚な建具とともに、集中して対話に向き合える静謐さと、企業の信頼感を象徴する品格を両立させている。さらに、既存オフィスとの連続性にも配慮し、動線計画や照明計画を含め、会社のブランドイメージをさりげなく印象づける「顔」としての役割を担う空間を目指した。
DATA
| 所在地 | 東京都中央区 |
|---|---|
| 用途 | オフィス |
| 延床面積 | 15.67㎡ |
| 階数 | 地上8階 |