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Kagetsu Sojiji Project

  • 賃貸集合住宅
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国道15号線に面し、花月総持寺から徒歩2分という利便性の高い敷地に計画した共同住宅。

すき間を抜けてエントランスへ導くプロムナードを設けることで、街から住まいへの心地よい「間」をつくり出した。道路側には明快な水平ラインと縦のフレームを組み合わせたファサードを計画し、周囲のスカイラインと呼応しながらも過度に主張しない落ち着いた表情とした。温かみのある木質のエントランスホールと植栽のアプローチが、都心の喧騒を一歩内側で和らげ、住まい手を静かな日常へと切り替える。地域の風景を受け止めつつ、新たな背景として長く愛される住棟を目指している。

DATA

所在地 神奈川県横浜市鶴見区生麦5丁目8
用途 共同住宅
設計期間・監理期間 2022.04-2022.09・2022.12-2024-08
敷地面積 1486.87㎡
建築面積 733.72㎡
建蔽率 49.34%(80%)
延床面積 7375.43㎡
容積率 399.98%(400%)
階数 地上11階
構造形式 鉄筋コンクリート造

このファサードは、細やかな縦ラインの構成によって、高さのある住棟に繊細なリズムと軽やかさを与えるデザインとして成立している。白いフレームが建物全体を縦方向に引き締め、そこへ落ち着いたグリーンのアクセントパネルと黒の開口部を組み合わせることで、素材感の対比と奥行きを強調。バルコニーは奥行きの深い陰影をつくり、プライバシーを守りながら外観の立体感を生み出す役割を担っている。共用廊下側の窓も連続して配置され、内部の光が外観に柔らかな表情を与える。周囲の街並みに溶け込みつつも、端正で垂直性の強い構成によって、都市的で静謐な佇まいをつくり出すファサードである。

風除室は、エントランスの印象を決定づける“迎えの間”として、あえて大きな吹き抜け空間としてデザインされている。縦方向に伸びる木ルーバーとガラスフレームが高い天井と連続し、外部から内部へと視線が抜ける開放的な構成が特徴である。壁と天井に用いた木質素材は、都市的な外観との対比として温かみを生み、帰宅する人を柔らかく包み込む。夜間にはライン照明が陰影を際立たせ、透明感のあるガラス越しにホールの光がこぼれ、静謐で上質な雰囲気を醸し出す。防風・防塵の機能を確保しながら、建物の品格を象徴するエントリースペースとなっている。

1階エントランスホールは、外部からの喧騒を静かに切り替える“緩衝の空間”としてデザインされている。風除室から連続する木質パネルが壁と天井に伸び、温かみのある迎え入れの表情を形成すると同時に、落ち着いた黒の建具と美しいコントラストを生み出している。大判タイルの床は上質で明るいトーンを保ち、奥の共用廊下へ自然に誘導する。間接照明が壁や天井を淡く照らし、視線を柔らかく導くことで、圧迫感のない広がりを感じられる空間となっている。住まいに帰ってきた瞬間に、静けさと安心感をもたらす“住まいの顔”として機能するエントランスホールである。

上階のEVホールは、ホテルライクな落ち着きと温かみを両立させたデザインとして構成されている。エレベーターまわりには木調の天井枠を設け、垂直動線に“迎える”表情を与えるとともに、柔らかな陰影を生む。壁面や建具は落ち着いたダークトーンでまとめ、カーペットの模様と色の切り替えによって、EVホールと居住者用廊下の領域を自然に区切っている。廊下は間接照明とダウンライトを組み合わせ、過度な明るさを避けながら歩行の安心感を確保。住まいに帰ってきた際に、静かで上質な雰囲気を感じられる、共用部の重要な“節目”となる空間である。

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