色彩研究所のエントランス兼守衛室は、研究テーマそのものを建築で表現する「光のゲート」として計画された。透明感のある大屋根の下には、淡いグリーンやブルーを中心とした色彩ガラスのスクリーンが層状に立ち並び、その一枚一枚に色付きフィルムを挟み込むことで、季節や天候、時間帯によって繊細に表情を変える。敷地に足を踏み入れた来訪者は、光の方向や自らの動きに応じて色の重なりや明暗が連続的に変化する回廊を歩くことになり、色を単なる仕上げ材ではなく“光の現象”として体験する。大屋根もまた見る角度によって七色にきらめき、昼は空や樹木を柔らかく映し出し、夜は内蔵照明が面全体を淡く発光させて遠景からも施設の存在を示す。守衛室はガラス越しに内外の気配が伝わるコンパクトなボリュームとし、視認性と安全性を確保しながら、研究所全体の清潔で知的なイメージを印象づける象徴的なファサードとして機能する。日々の通勤や来館のたびに異なる色の表情と出会えることで、利用者の創造性を静かに刺激することを意図している。この提案はコンペで一等に選ばれ、実施設計へと進んでいる。
DATA
| 所在地 | 千葉県佐倉市坂戸631 |
|---|---|
| 用途 | 警備室/事務管理施設のエントランス庇 |
| 設計期間・監理期間 | 2017.06-2017.07・2017.08-2017.09 |
| 敷地面積 | 51,300㎡ |