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Project in 2-Chome, Asaka City

  • 賃貸集合住宅
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埼玉県朝霞台駅、北朝霞駅より徒歩5分という利便性の高い敷地で共同住宅の設計を行った。

敷地は西・南の2面接道であるが西側道路と南側道路とで最大5m程の高低差がある敷地であり、難易度の高い設計となった。

外観については濃淡2色のタイルを用いた水平ラインが建物を伸びやかに見せつつ、要所に挿入した縦の白いピラーがリズムを与え、単調さを和らげている。奥行きの深いバルコニーは、通りからの視線を受け止める陰の器として働き、住戸ごとのプライバシーと外部居場所を確保する仕掛けである。片側ファサードではボックス状のバルコニーをずらしながら積層させ、光と影が移ろう立体的な表情をつくり出した。1階レベルには連続する植栽帯を設け、四季の彩りとともに歩行者との距離を柔らかく調整する。控えめな色彩と素材でまとめることで、時間とともに街に馴染み、長く愛される都市の“背景”となる住まいを目指している。

 

DATA

所在地 埼玉県朝霞市東弁財2丁目9
用途 共同住宅
設計期間・監理期間 2023.04-2024.03(設計のみ)
敷地面積 1921.81㎡
建築面積 1035.98㎡
建蔽率 53.91%(60%)
延床面積 4287.54㎡
容積率 181.63%(200%)
階数 地上5階・地下1階
構造形式 鉄筋コンクリート造

この妻面は、建物全体の水平基調とは対照的に、立体的なボリューム操作によって豊かな陰影をつくり出している。バルコニーを前後にずらしながら積層させることで、単なる端部としてではなく“ファサードのもう一つの顔”としての存在感を付与。黒とグレーの素材を組み合わせた濃淡のレイヤーが奥行きを生み、光の当たり方によって表情が変化するのも特徴である。縦動線部分を中心に、出入りするボックスがリズムをつくり、街路側からの視点に躍動感を与える一方、各住戸のプライバシーや日照にも配慮した構成となっている。全体として、直線的な建物の中に変化と個性を宿すアクセントとして機能している。

エントランスは、落ち着いたダークトーンでまとめた水平庇が象徴的な、静かな門構えとして計画している。大きく張り出した庇と壁面で車寄せと歩行者の動線を受け止め、雨の日でも濡れずに出入りできる安心感を確保。ガラス越しに内部の明るさがにじみ、外部の植栽と対比することで、クールな外観の中に柔らかさを与えている。道路側に伸びる植栽帯は視線を和らげながらアプローチを導き、帰宅時に緩やかな心の切り替えを生む。控えめながらも品のある佇まいで、建物全体の印象を決定づける玄関口となっている。

この共用スペースは、落ち着いたトーンと低めの天井を活かし、“こもる”心地よさを感じられるラウンジとしてデザインされている。壁一面に設けたロングシェルフはライブラリーとして機能し、書籍や雑貨が空間に表情を与えると同時に、奥行きのある景色をつくり出す。柔らかいファブリックのラウンジチェアや床のラグが、住人が自然に腰を下ろし、読書や会話を楽しめる温度感を演出。照明は天井のスリットとダウンライトで構成し、過度なまぶしさを抑えながら、穏やかな光のレイヤーを保っている。奥にはワークや調べものに使える多面モニターの端末も配置され、くつろぎと機能性が共存する、滞在したくなる共用空間となっている。

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