– 100年の歴史のある倉庫群の再生 –
約100年前、港の物流の基盤として活況を迎えていた時代に建てられた外壁に伊豆石を用いたの木骨石造の倉庫群である。
施主である企業は、清水の地で「廻船問屋」から事業を始め、今では静岡を代表する大手企業となった。ここはその原点にあり、企業にとっても地域にとっても特別な場所である。私たちは、この場所がかつての賑わいを思い起こさせ、港の未来につながる交流とものづくりの拠点となることを願っている。
改修では既存を最大限に残すことを前提とし、足りない性能は最小限の挿入によって補う。
外壁に使われている伊豆石は、現在はモルタルで覆われてしまっているが、静岡県伊豆半島で産出されていた火山性の堆積岩(凝灰岩)で、江戸期の城郭や明治期の街並みの建材として建築・土木・都市基盤構築の文脈で重要な石材である。
しかし、大雨による崩落以降復旧されず現在、採石場が存在しない。倉庫と共にこの伊豆石を、保存・記録・利用をしていくことが課題となる。
歴史の上に新しい層を重ねるが、元の姿に戻そうとはしないし、過去を模造することもしない。壊れた部分は補修し、不要な付加は外す。しかしそこに残る傷やズレは、出来事の痕跡として肯定する。
倉庫の外には海。風の匂い、クレーンの影、船と貨物の往来。それらは今も変わらず港の時間を流している。この倉庫群が未来のまちづくりと呼応し、人や産業が再び集う風景を育むことを期待したい。
DATA
| 所在地 | 静岡県静岡市 |
|---|---|
| 用途 | 倉庫 |
| 設計期間・監理期間 | 2024.10- |
| 敷地面積 | 11,439.30㎡ |
| 建築面積 | 7,815.28㎡ |
| 延床面積 | 8,291.73㎡ |
| 階数 | 地上1階 |
| 構造形式 | 木造 |