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TENNOZ ISLE PROJECT

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本計画地は、品川という東京南部の都市核に近接しながらも、運河と住宅地が織りなす穏やかなスケール感を内包した場所である。京浜運河を隔てた先に工業地域が広がる一方、周辺には公園や、マンションの共用空間が街に開かれる事例が点在し、都市と生活が緩やかに混ざり合う環境が形成されている。
敷地の東側には運河と首都高速道路、南側および西側には高層の共同住宅が建ち、さらに日影規制により北側へのボリューム配置が制限されるという、複合的な条件を内包している。本計画ではこれらの制約を単なる制限として捉えるのではなく、建築の構成原理へと転換することを試みた。
建物を三棟に分節し、東・南・西へと住戸を展開することで、周辺環境との距離感を調整しながら、居住性とボリュームの両立を図っている。上層部を段階的にセットバックさせることで圧迫感を抑制し、水平ラインを強調した外観を形成するとともに、大きなL型フレームによって全体を統合し、環境に応答する静かな存在感を都市に与える建築を目指した。

DATA

所在地 東京都品川区
用途 共同住宅・物販店舗
設計期間・監理期間 2025.03-2025.12・2026.02-2027.10
敷地面積 2,460.06㎡
建築面積 1,393.65㎡
建蔽率 56.65%(60%)
延床面積 9,044.09㎡
容積率 299.93%(300%)
階数 地上9階
構造形式 RC造

水平ラインを基調とした、落ち着きのある外観構成

本建物の外観デザインは、周辺に建ち並ぶ中高層住宅のスケールを踏まえ、街路に対して過度に主張することなく、落ち着いた佇まいを形成することを意図している。バルコニースラブを連続させ、軒天に木目調の仕上げを施すことで水平ラインを強調し、建物全体に安定感と伸びやかさを与えている。

また単調な反復に陥らないよう、大きなL型フレームを立体的に配置し、水平ラインを束ねる構成とすることで、外観にリズムと奥行きを与えている。このフレームは視覚的な基準線として機能し、分節されたボリュームを緩やかに統合しながら、街路に対して明確な輪郭を形成している。

外壁は落ち着きのあるオフホワイト系を基調とし、ダークグレーや木目調を差し色として用いることで、素材のコントラストによる陰影と表情の変化を生み出した。1階道路側に配置したテナント(物販店舗)は一面を開口部とすることで視認性と回遊性を高め、街に対して開かれた表情をつくり出している。建築としての統一感と、都市に対する親和性を両立させる外観を目指した。

 

西側道路に面する建物ファサード

水平性とプロポーションがつくる南側ファサード

敷地南側に配置した建物は、全体計画を構成する三棟の一つとして、相互の関係性を重視しながらデザインしている。三棟は共通したマテリアルと構成原理を用いることで統一感を保ちつつ、それぞれの立地条件や住戸構成に応じた表情の違いを与えている。

外観は、連続するバルコニースラブによって水平ラインを強調し、建物全体に安定感と広がりを持たせている。一方で、建物のプロポーションに呼応する縦ラインを適度に挿入することで、単調さを抑え、シャープで引き締まった印象を与えている。水平と垂直の要素をバランスよく組み合わせることで、周辺環境に馴染みながらも、輪郭の明確な外観を形成した。

中央に配置した南向き住戸はアウトフレーム構造とし、柱型の影響を受けない奥行きのあるバルコニーを確保している。これにより、居住空間の拡張とともに、南側隣地との適切な離隔を確保し、採光・通風・プライバシーに配慮した住環境を実現している。敷地条件を丁寧に読み解き、住戸性能と外観意匠の両立を図った建物である。

南側建物イメージ

住まいへ導く歩行者用アプローチ空間

共同住宅エントランスへ至る歩行者用アプローチは、車両動線と明確に分離することで、安全性と落ち着きを確保した導入空間として計画した。街路から一歩奥へと引き込まれるこのアプローチは、日常の動線でありながら、住まいへ向かう気持ちを穏やかに切り替えるための前庭のような存在である。

アプローチ空間には植栽を効果的に配置し、建物ボリュームに囲われた中に、緑の気配と奥行きを感じられる豊かな歩行環境をつくり出している。舗装やスケールを抑えた構成により、歩行者の速度に寄り添った、安心感のあるプロポーションとしている。

アプローチ入口から通路正面には、エントランスおよび外壁のタイル貼り仕上げを想起させる受け壁を設け、視線を自然にエントランス方向へ導く構成とした。この壁面は単なる境界ではなく、マンションの顔としての存在感を担い、メインアプローチとしての明確な表情を与えている。

歩行者動線を丁寧にデザインすることで、建物内部へ至る体験を段階的に構成し、日常の中に落ち着きと豊かさをもたらすアプローチ空間を目指した。

共同住宅の顔となる緑に包まれたエントランスアプローチ

住まいの価値を底上げする共用空間

本建物は、1階道路面の一部に物販店舗を内包した賃貸マンションである。賃貸住宅でありながら、トランクルームや居住者専用フィットネスジム、軽作業にも対応できるラウンジなど、日常の多様な行為を受け止める共用空間を計画し、住まいに付加価値を与えることを目指した。

外部から内部へと連続する体験を重視し、ポーチ庇は外観で形成した水平ラインと呼応するL型フレームとかみ合うように配置することで、街に対する構えを整えつつ、自然に内部へと導く装置としている。エントランスホールは分譲マンションに匹敵するスケールと質を備えた吹抜け空間とし、上層部には木目調のルーバーを配することで、開放感と落ち着きの両立を図った。

内部の壁仕上げは外部アプローチと連続するタイル張りとし、ルーバーと合わせて三層的に構成することで、素材の重なりによる奥行きと陰影を生み出している。共用部全体を通して、賃貸という枠を超え、建築としての質と居住体験の豊かさを丁寧に積み重ねることを意図した。

居住者用ラウンジスペース

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