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Tower building

SCROLL

塔状比が極めて高い鉄骨建築物である。本計画における構造設計は、風や地震による卓越変形を精緻に把握するため、非線形時刻歴応答解析を用い、その統計的評価に基づいて保有水平耐力を検証し、大臣認定を取得するフローとなる。都市の空に細いペンで線を引くように立ち上がるこの塔を包むファサードは、ランダムな角度に配置された反射ガラスで構成され、演算的に制御された照明計画とミックスされることで、昼は空と街並みを砕けたプリズムのように映し出し、夜はきらめく信号の束として都市に浮かび上がる。熱反射ガラスルーバーは外皮の多層フィルターとして機能し、日射取得率と可視光透過率を精密にチューニングしながら内部からの眺望を最大限に生かす一方、直射光と眩しさを抑制し、室内環境の熱負荷を低減する。構造フレームの力学的合理性と、環境制御システムのパフォーマンス、そして詩的な輝きとを同時にまとうことで、この建築は都市スカイラインの新たな指標となることを目指している。やがて利用者が歩を進めるたび、光と影のスペクトルがわずかな風応答と同期して揺らぎ、数値解析では記述しきれない、身体感覚としての安全性と心地よさを静かに語りかける。

DATA

所在地 東京都中央区
用途 事務所、店舗
設計期間・監理期間 2018
敷地面積 72.99㎡
建築面積 45.02㎡
建蔽率 61.68%(80%)
延床面積 588.46㎡
容積率 699.36%(700%)
階数 地下0階・地上13階
構造形式 S造

銀座の交差点に、空へひらかれたゲート状の鉄骨フレームが立ち上がる。塔状比の高いボリュームは、時刻歴応答解析で風と地震を読み解きながら、街のきらめきを受け止める器となる。ファサード全面に配した繊細な縦フィンは、熱反射ガラスと一体で日射を制御しつつ、歩行者の視線を上空へ導く光のストリングスとして機能する。昼は縦方向の陰影が路地のリズムを刻み、夜はフィン先端に仕込まれた照明が、銀座の夜景に新たな層を重ねる。構造体と環境装置が重なり合うことで、建築そのものが都市のスケールで呼吸するファサードとなることを目指している。人の流れと光の流れが交差するその瞬間、ゲートをくぐる行為自体が銀座の新しい体験となる。

銀座の街路に沿って伸びるこの建築は、低層部が大きなゲート状に抜かれ、通りの喧騒を包み込む都市的な門として計画されている。上層へ向かって鉄骨のフレームが細く立ち上がり、その表面を覆う縦フィンが、熱負荷と眩しさを抑える環境装置として機能する。CFD解析と日射シミュレーションによりフィンのピッチと角度を最適化し、内部には柔らかな拡散光だけを引き入れる一方、外側には銀座特有のネオンや街灯の反射を断片的に映し出す。夜になると、縦フィンの間を縫うように組み込まれたライン照明が、ゲート状のヴォイドを淡く縁取り、歩行者に時間の層を感じさせる光のトンネルをつくりだす。銀座の記憶を光で編み直す。静かな瞬間を孕む。