本計画は、北千住駅東口から続く商店街の一角に建つ、信用金庫店舗および貸事務所からなる地上6階建ての事務所ビルである。限られた敷地の中で、街路に対して細長く立ち上がるボリュームをいかに軽やかに見せるかをテーマとした。鉄骨造によるスリムな架構を活かし、外観は縦方向に分割された三つの層で構成している。白い壁面と黒いフレームの対比によってファサードにリズムを与え、商店街の雑多なスカイラインの中にあっても、端正でありながら親しみやすい表情をつくり出している。道路側にはガラス張りの垂直な吹き抜け空間を設け、上階へ視線が抜ける構成とすることで、コンパクトな建物に立体的な広がりを感じさせている。各階に設けたバルコニーと植栽は、働く人の小さな外部居場所であると同時に、街並みにグリーンのアクセントをもたらす要素である。1階には信用金庫店舗の明快で開放的な入口を配置し、サインやエントランス廻りにはコーポレートカラーである赤を差し色として用いることで、ブランドアイデンティティを街に向けて発信している。上階の貸事務所は、シンプルな無柱空間とし、テナントの多様な働き方や将来的なレイアウト変更にも柔軟に対応できる計画としている。本計画は、商店街の賑わいと業務空間を緩やかにつなぐ、都市型のコンパクトオフィスの新たなモデルとなることを目指したものである。