本計画のコンセプト段階では、信用金庫という機能を超え、地域の日常風景の一部として存在する建築のあり方を構想した。角地という立地条件を生かし、建物全体を大きな一つの屋根と透明感のある外皮で包み込むことで、街に対して穏やかに開かれた佇まいを描いている。低層部には通りと連続する開放的な空間を設け、金融施設でありながらも、人々が自然に立ち寄り、滞留できる場となることを意図した。
上部には緑を取り込んだ半屋外的な構成を重ね、都市の中に小さな余白をつくり出すことを試みている。植栽は単なる装飾ではなく、建築と街との関係をやわらかく媒介し、季節や時間の移ろいを感じさせる存在として計画した。建物の輪郭は曲線を用いて構成し、交差点に対する視線や人の流れを受け止めながら、周囲に対して威圧感を与えないスケール感を目指している。
このコンセプト案は、金融施設に求められる信頼性や機能性を前提としながらも、地域にひらかれ、街とともに成長していく建築像を提示するものであった。完成形へ至る過程の中で整理・調整されていく要素も含め、設計の原点としての思想や方向性を明確に示した段階の提案である。
DATA
| 所在地 | 東京都足立区 |
|---|---|
| 用途 | 信用金庫 |
| 設計期間・監理期間 | 2019.05-2019.08 |
| 敷地面積 | 517.31㎡ |
| 建築面積 | 179.88㎡ |
| 建蔽率 | 34.77%(80%) |
| 延床面積 | 272.72㎡ |
| 容積率 | 52.71%(300%/200%) |
| 階数 | 地上2階 |
| 構造形式 | 鉄骨造 |