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NAKAMAGOME PROJECT

  • サービス店舗
  • 物販店舗・飲食店
  • 賃貸集合住宅
  • 鉄筋コンクリート造
SCROLL

本計画は東京都大田区中馬込一丁目に位置する敷地面積6,440㎡の傾斜地に、店舗・サービス店舗・飲食店と共同住宅からなる地上10階地下1階、延べ約27,000㎡の複合施設を創出するプロジェクト。四方を道路に囲まれ最大約8mの高低差をもつ敷地条件を、単なる制約ではなく立体的な回遊性を生むポテンシャルと捉え、駐車場レベルを動線計画の軸とし、低層に街に開いた店舗、中層に駐車場、上層に静かな共同住宅を積層する断面構成とすることで、にぎわいと住環境の質の両立を図った。法規制から導かれるボリュームの変化は、あえて水平基調のファサードの中に段状のテラスや植栽帯として表現し、光と緑が連続するゆらぎのある輪郭へと昇華させた。外構計画では環状七号線側に都市的なプロムナードを、住宅地側には落ち着いた緑のテラスを設け、昼夜で表情を変える照明計画によって歩行者に安心感と賑わいをもたらす界面を創出した。さらに建物内外を貫くデッキや広場を配置することで、3つのキーワードである「にぎわい」「連続性」「水平性」を空間として具体化した。「Connection Bridge」をキーワードに、オフィス街と住宅地、幹線道路と生活道路、働く場と暮らす場をやわらかくつなぐ、新しい都市の架け橋となる計画を提案した。

DATA

所在地 東京都大田区中馬込1-4-1
用途 共同住宅・物品販売店舗・サービス店舗・飲食店
敷地面積 6,440.50㎡
建築面積 5,111.00㎡
建蔽率 81.8%
延床面積 27,001.53㎡
容積率 299.9%
階数 地上10階・地下1階
構造形式 RC造

Connection Bridgeとしての全体構成

環状七号線の向かい側から見た全景であり、本計画が周辺のオフィスビル群と連続する中層スカイラインを形成している様子が分かる。左右に位置する既存リコーオフィスと高さとボリュームを揃え、中央に本計画を水平に架けることで、「Connection Bridge」というコンセプトを都市スケールで具現化している。環七側の低層部には商業施設と駐車場を積層させ、その上部に広い車路と緑化されたテラスを設けることで、幹線道路に面しながらも人が滞留できる外部空間を確保している。歩行者デッキは歩道橋と接続し、環七の両側を行き来する歩行者を建物内の商業ゾーンへ自然に導く装置として機能する構成である。背後の住宅地に対しては建物高さを段階的に抑え、街の縁辺を柔らかく切り替える役割も担っている。中央の駐車場フロアを基準面として、上層の住棟と下層の商業ゾーンをつなぐことで、異なる利用者の動線を整理しながら、立体的な回遊性を生み出している。街路樹の連なりとテラスの植栽が視覚的に重なり、季節の変化を感じられる緑の帯として環七沿道の景観に寄与する計画である。

オフィス群と住宅地を水平に結ぶConnection Bridgeの全景

にぎわいを生む環七側メインファサード

環状七号線側から見たメインファサードであり、商業機能と共同住宅が段状に重なり合う構成が最もよく表れている。1階にはスーパーマーケットなどの物販店舗をガラス張りで配置し、歩道との視線のつながりを確保することで、道行く人を引き込む開放的な界面としている。2〜3階にはサービス店舗やフードコートを想定したテラス付きのフロアを設け、植栽とベンチを組み合わせることで、買い物の合間に滞在できる屋外リビングのような場をつくっている。その上部に駐車場フロアを水平に通し、さらにその上に住棟ボリュームをスライドさせて載せることで、歩行者・車両・居住者の動線を整理しながら、ダイナミックな水平ラインを強調している。立ち上がる階段塔は歩道橋と連続し、街路からデッキレベル、住宅エントランスまでを一筆書きでつなぐ立体動線の節点となる要素である。夜間にはテラスの植栽照明と店舗の光が重なり、環七沿道に連続する光の帯として、周辺オフィスワーカーや居住者に安心感のあるナイトシーンを提供する計画である。日中とは異なる表情を意図している。

商業テラスと住棟が折り重なる環七側メインファサード

動線が交差するコーナーの立体構成

計画地の南西側コーナーから見た外観であり、スロープ状の道路に沿って基壇と住棟が立体的に連続していく様子を捉えている。低層部はセットバックしたガラスのボリュームとし、その下に駐輪場やバイク置場、サービス動線を収納することで、街路レベルからの圧迫感を軽減しつつ、生活機能をコンパクトに集約している。上部の住棟は細い水平マリオンと連続バルコニーによって構成し、角度を振ることで街路に対してやわらかな正面性をつくり出している。歩行者・自転車・自動車の動線が交差するポイントであるため、見通しの良いガラス面とピロティ状の抜けを確保し、安全性と開放性の両立を図っている。道路勾配に合わせて外構レベルを段状に処理し、植栽帯やベンチを挿入することで、通り抜けるだけでなく滞在も許容する街角のポケットスペースを計画している。住宅地側に対しては色彩とボリュームを抑え、背後の高層オフィスとの対比の中で、暮らしの場としての落ち着きと、環七側のダイナミックな表情をつなぐ緩衝帯となることを意図している。地域に開いた穏やかな外観である。

スロープに沿って緩やかに立ち上がる基壇と住棟のコーナー景観

住宅地側アプローチの外観

住宅地側から見た外観であり、最大約8mの高低差をもつ敷地形状を読み込みながら住棟をスリムに立ち上げている。歩道レベルの変化に合わせて基壇高さを抑え、低層部にはガラス面の大きい共用空間や店舗を配することで、近接する戸建て住宅とのスケール感を調整している。立ち上がり部分の階段塔とガラスの縦リブが、水平に伸びるバルコニーラインを束ね、奥行きのある陰影を生み出している。街路沿いには植栽帯とセットバックを設け、歩行者の安全性とプライバシーを確保しながら、住宅地に開かれた穏やかなアプローチ空間を形成している。住宅地側は全体を明るいホワイトとグレーを基調とした落ち着いた色彩とし、商業側のにぎわいを受け止めながらも、住まいとしての安定感を表現している。スロープ状の道路に沿って連続する歩道や駐輪スペースは、居住者だけでなく周辺住民も利用できる半公共空間とし、日常的な視線の抜けと小さな出会いを生み出す仕掛けとしている。背後に連なる既存ビルとの高さ関係にも配慮し、中層スカイラインを揃えることで、環状七号線側とは異なる穏やかな街並みの一部として計画している。

高低差のある住宅地に寄り添うスリムな住棟ボリューム

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