MEFULL田町は、田町駅前という高い視認性と厳しい敷地条件を併せ持つ立地において、塔状比6.0を超えるスリムなペンシルビルとして計画された。限られた敷地を最大限に活かしながら、都市の動線に対して過度に主張するのではなく、端正で品位のある立ち姿をつくることを意図している。
本計画では、既存建物の地下躯体を残し、その内部に新たな構造体を挿入する構成を採用した。解体工事や基礎工事の負荷を抑えつつ、構造安全性を確保するための合理的な手法であり、都市更新における一つの選択肢として位置付けられる。細長いプロポーションがもたらす風揺れや居住性への影響に配慮し、屋上にはTMD(同調質量ダンパー)を設置することで、構造的安定性と快適性の双方を担保している。
外観は、アルミレーザーカットパネルとALCデザインパネルを主素材とし、縦方向の伸びを強調した立面構成とした。パネルのリズムや割付を丁寧に整えることで、スリムなボリュームをより美しく、軽やかに見せる表現を試みている。日中は、細かなパターンが光を受けて繊細な陰影を生み出し、時間帯によって表情を変える。夜間には、LEDライン照明や照明パネルが立ち上がるプロポーションを際立たせ、駅前を行き交う人々の視界に静かに寄り添う存在感を与えている。
素材と光をレイヤーとして重ね合わせることで、都市環境の中におけるスリムな建築の個性を引き出し、安全性、合理性、デザイン性を高い次元で統合した計画である。
DATA
| 所在地 | 東京都港区 |
|---|---|
| 用途 | 飲食店、物販店舗、サービス店舗、オフィス |
| 設計期間・監理期間 | 2021.7-2022.9 |
| 敷地面積 | 158.16㎡ |
| 建築面積 | 93.00㎡ |
| 建蔽率 | 58.80%(80.00%) |
| 延床面積 | 1177.10㎡ |
| 容積率 | 685.32%(700.00%) |
| 階数 | 地上13階 塔屋2階 |
| 構造形式 | 鉄骨造一部鉄筋コンクリート造 |
駅前に開く小さな動脈、日常の往来が流れる通り
営三田線・浅草線「三田駅」A3出口のすぐ近くに位置する区道で、幹線道路である三田通りから脇に入ったエリアにある。駅から郵便局や周辺ビルへアクセスするための生活道路として利用されているといえる。沿道には港芝五郵便局、小川ビル内の田町眼科クリニック・コンタクト販売店、日本情報通信株式会社などのオフィス・サービス系テナントが存在しており、業務利用やちょっとした用事で訪れる人が多い環境と推測される。JR田町駅からも近く、徒歩での移動が中心となるため、通りには歩行者の往来が見られる可能性が高い。ただし、混雑状況や時間帯ごとのにぎわい、通りの雰囲気の具体的な印象は、現地の観察情報がないため断定はできない。商業地とオフィス街の中間的な立地で、駅近の実用性が感じられる通りであるとまとめられる。