本計画は、東京都杉並区和泉一丁目、環七通り沿いの四方を道路に囲まれた扁平な三角形敷地に建つ、鉄骨造地上9階建ての共同住宅である。
1階に街路に開いた花屋、屋上にオーナー住戸を配し、賑わいと暮らしが重なり合う都市の住まいを目指した計画である。
全面道路に面するという特性を生かし、どの方向から見ても端正に見える建ち姿を追求している。
環七側のファサードには白い大壁を立ち上げ、窓とバルコニー手すりの高さを揃えて水平ラインを強調することで、
整然とした美しさと堅牢なボリューム感を生み出した。側面・背面も同様の素材とラインで統一し、裏側をつくらないことで、
交差点のランドマークとしての存在感を高めている。1階外壁にはコールテン鋼のエイジングを思わせる塗装を施し、
低層部に重心を落とすことで細長いボリュームを落ち着きある街並みへと着地させている。
夜間には花屋の温かい灯りと共用部の光がにじみ出し、歩行者に安心感と親しみを与える。
室内は開口部の位置とバルコニーの奥行きを調整し、プライバシーを確保しながらも環七や周辺の街並みへの眺望を享受できる計画としている。
コンパクトな敷地256.55㎡の中に、多方向性、象徴性、居住性をバランス良く融合させた、都市型共同住宅の新たなモデルを提示する計画である。
DATA
| 所在地 | 東京都杉並区和泉 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2022.01-2023.01 |
| 敷地面積 | 256.55㎡ |
| 建築面積 | 178.24㎡ |
| 建蔽率 | 68.17% |
| 延床面積 | 1230.52㎡ |
| 容積率 | 398.91% |
| 階数 | 地上9階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |