本計画は、賃貸市場のリサーチからスタートし、DINKS層や核家族層を主要なターゲットとして位置づけた。
今後、周辺に同様の事業スキームによる共同住宅が建ち並ぶことを見据え、「どうしても住んでみたい」と感じさせる魅力を建築としてどう実現するかをテーマに据えている。
外観は白を基調としたシンプルなキューブ形状とし、無駄を削ぎ落とした端正なデザインで構成した。
一方で内部空間は、共用部・専有部ともに多様なテーマを設定し、表情豊かで個性のある空間体験を創出している。
DATA
| 所在地 | 神奈川県川崎区 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2012.7.1～2022.9.30 2022.11.01~2024.02.28 |
| 敷地面積 | 457.53㎡ |
| 建築面積 | 1830.12㎡ |
| 建蔽率 | 70.50% |
| 延床面積 | 2545.23㎡ |
| 容積率 | 399.60% |
| 階数 | 地下1階、地上９階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |
キューブとグリッドで構成された外観デザイン
キューブとグリッドを組み合わせた外観デザインは、白いタイルによって構成され、抽象的で洗練された印象を生み出している。
キューブに穿たれた開口部や隙間からは、居住者の生活の温かな光がこぼれ、建築全体に豊かな表情を与えている。
地底をイメージしたエントランスホール
1階エントランスホールは、明るい地上へと上昇していくイメージを表現するため、地底や洞窟をモチーフにデザインしている。
杉板型枠のコンクリートによって地層の重なりを表現し、彩度を抑えた素材で空間を構成することで、静謐でストイックな雰囲気を創り出している。
太陽をイメージした空間
各フロアにはそれぞれ参照元となるテーマを設け、9階は「太陽」をモチーフに赤を基調とした壁面で構成している。
屋内廊下の奥には大開口を設け、廊下全体に自然光が行き渡るよう計画した。
照明は間接照明のみとし、日中は柔らかな光で、夜間はカラフルな壁面を穏やかに際立たせる空間演出としている。
