本計画は、赤羽岩淵の街並みに立ち上がる、全70戸・14階建ての賃貸マンションである。
視認性の高い立地であることから、建物が四方から見られる状況を前提に、賃貸マンションにありがちな「正面だけがデザインされる」構成ではなく、全方位に対して均質な存在感をもつファサードを追求した。
建物のボリュームは大きな壁に挟まれたような構成とし、これらの面がファサードの印象を力強く規定する。
そこにポイントカラーとして青を配置することで、周囲の街並みに鮮やかなアクセントを与え、建物全体のアイデンティティを確立している。
外観だけでなく、青を基調としたデザインはエントランスホールにも連続しており、屋外から屋内へとシームレスにつながる空間体験を意図している。
エントランスに足を踏み入れると、外部から延びてきた青壁が内部空間を貫入し、その上下を柔らかく光らせる演出によって、壁自体が宙に浮かんでいるかのような軽やかな表情を生み出している。
さらに、この青壁は外部に向かっても立体的に展開し、建築の輪郭を縁取るように広がることで、視覚的な連続性と立体感を強調している。
単なるポイントカラーの使用に留まらず、建物全体の構成を貫くモチーフとして機能させることで、外観と内部空間の双方に一貫したデザイン言語を確立した計画である。
DATA
| 所在地 | 東京都北区 |
|---|---|
| 用途 | 共同住宅 |
| 設計期間・監理期間 | 2017.12-2019.12 |
| 敷地面積 | 504.11㎡ |
| 建築面積 | 276.29㎡ |
| 建蔽率 | 54.80% |
| 延床面積 | 3085.15㎡ |
| 容積率 | 499.99% |
| 階数 | 地上14階 |
| 構造形式 | 鉄筋コンクリート造 |