荒川区東尾久の落ち着いた住宅地に建つ、総戸数49戸の単身者向け集合住宅である。本計画では、事業収支を最適化するために敷地ポテンシャルを最大限に活かし、住戸数を確保する戦略をとった。具体的には、単身者向けでありながら「超コンパクト1LDK」という形式を採用。限られた専有面積の中で明確な寝食分離を実現し、ファミリータイプに匹敵する機能性と居住性を備えた高密度なプランニングとしている。
外観デザインの核となるのは、異なる素材感の衝突と融合である。土の温かみを感じさせるせっ器質タイルの素朴な肌理、施工時の色むらをあえて残したRC打放しの荒々しさ、そして光を鋭く反射する全艶タイルの光沢。これら「マットとグロス」「粗さと滑らかさ」という対極的な質感を大胆に組み合わせた。
この複雑な素材構成を成立させるため、目地割の整合性や異素材同士の見切り、厚みの取り合いといったディテールを緻密に調整し、緊張感のある均衡状態を作り出した。表層的な装飾に頼るのではなく、素材そのものが持つ力の対比によって、建築に深い奥行きと豊かな表情を与えている。
DATA
| 所在地 | 東京都荒川区東尾久 |
|---|---|
| 設計期間・監理期間 | 2020.02-2020.08・2020.12-2022.02 |
| 敷地面積 | 1155.31㎡ |
| 建築面積 | 551.86㎡ |
| 建蔽率 | 47.76% |
| 延床面積 | 2724.83㎡ |
| 階数 | 地下0階 地上6階 |
物質と光のコントラスト
エントランス空間のコンセプトは、コンクリートが持つ「重厚な物質感」と、光壁による「非物質的な浮遊感」の対比にある。 空間の骨格となるのは、力強いRC打放しのゲートと、それに対峙するように配置された乳白色の大型光壁である。左右から放たれる柔らかな面発光は、硬質なコンクリートや床タイルの質感を際立たせつつ、まるで光の回廊を通るかのような幻想的なシークエンスを創出している。この光の演出は、視線を自然と奥のホールへと導くと同時に、都市の喧騒をリセットする結界としての役割も果たす。静謐な光に包まれる体験が、居住者に安らぎと高揚感を与えるドラマティックなアプローチ空間とした。