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COMPLETED

GS8

  • サービス店舗
  • 物販店舗・飲食店
  • 鉄骨造
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GS8(ジーエスエイト)ビルは、銀座の中でも特に“ナイトカルチャーの中心”として知られる銀座8丁目に位置し、“夜の銀座らしさ”を象徴する垂直的な光のランドマークとして計画された。ファサードを包むゴールドの縦ルーバーは、銀座の持つ華やかさと成熟した空気感を建築的に抽象化したもので、昼間は落ち着いた質感と柔らかな陰影をつくり、夜は下部からのLEDライン照明により温かく発光し、通りを歩く人々を引き寄せるアクセントとなる。

細長い形状を逆手に取り、垂直性を強調する構成とし、階ごとに光壁やシャープな水平ラインを挿入することで、スリムながらも存在感のある立ち姿を実現。

背面にまとめた階段・共用廊下の黒いフレームは、ゴールドの光とのコントラストを強め、銀座の夜景に溶け込みながらも際立つ視認性を獲得している。

低層部には明確なエントランス演出を設け、上層にはナイトワークや小規模テナントに対応する柔軟な区画を配置。華やかさと品の双方を求められる銀座8丁目において、光と素材のレイヤーで魅力を引き出し、街のにぎわいと共鳴する新たな立体サインとしてのビルを目指した。

DATA

所在地 東京都中央区
用途 料理店、飲食店、オフィス
設計期間・監理期間 2018.8-2021.8
敷地面積 116.81㎡
建築面積 84.04㎡
建蔽率 71.95%(80.00%)
延床面積 837.91㎡
容積率 663.13%(700.00%)
階数 地上10階 地下1階
構造形式 鉄骨造

銀座の商業デザインに求められる“品格ある存在感”のつくる

銀座の商業デザインにおいて最も重要なのは、強い視認性を確保しながらも、街の品格を損なわない“上質な控えめさ”を実現することである。過度な演出ではなく、光や素材の質を丁寧に積み重ねることで、銀座特有の大人びた華やかさをつくり出す必要がある。また、狭小敷地が多い銀座では、建物の縦方向のラインや細密な陰影によってファサードに奥行きを与えることが効果的であり、スリムな建物でも都市景観の中で存在感を発揮できる。素材選択も重要で、石・金属・ガラスといった定番の材料こそ、色味や反射具合、継ぎ目の処理が建物の格を左右する。さらに銀座では昼より夜の表情が価値を決めるため、ライトアップは均一照明ではなく立体感を強調する光の使い方が求められる。歩行者の目線に近い低層部の質感や光の密度にも細心の注意が必要で、周辺街並みとの調和を保ちながら埋もれない調整力が、銀座の商業建築における本質的なデザイン要件となる。

縦ルーバーと光が描く夜のファサード

写真は、縦ルーバーに沿って配置されたライン照明が、夜間のファサードを立体的に浮かび上がらせる建物を捉えたもの。ルーバーの奥行きに沿って生まれる陰影がリズミカルな表情をつくり、上層へ向かうにつれて光が縦に積層していくような構図が印象的である。低層部の黒を基調とした仕上げは光のコントラストを一層際立たせ、エントランス周りの白色光と共に視認性と誘導性を高めている。都市の細い街路の中でありながら、控えめなスケール感と力強い垂直性が共存し、夜景の中で存在感を確かに主張する建築の姿が表現されている。

ゴールドとブラックの対比が際立つ昼のエントランス

ゴールド系の縦ルーバーと深いブラックの外装が、昼光のもとで鮮明なコントラストを描くエントランスを捉えている。光を受けたゴールドは過度に主張せず、柔らかな反射で立体感をつくり、ブラックの外装はその輝きを受け止めながら全体を引き締めている。色の明暗差により、縦方向の構成がより強調され、建物のスリムなプロポーションが視覚的に際立つ。周辺の街並みに対しても、華美にならず上質な存在感を保ちつつ、店舗としての視認性を確保するバランスの良い色彩計画が表現した。

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