ごく一般的なオフィスの応接間を、豪華絢爛な商談の舞台として再生することを目指した計画である。日常的な平凡な一室を、非日常性と高揚感に満ちた「迎賓空間」へと格上げすることをテーマとした。この部屋に訪れる来客の多くは、大企業の重役や要職にある人々である。その特性を踏まえ、施主からの強い要望である「金」のイメージをベースに、重厚でクラシカルなアンティークスタイルの内装を提案した。
「金の茶室プロジェクト」が担うのは、来訪者に対して企業の姿勢を無言で語る“顔”としての役割である。華美に走らず、しかし手を抜かない。静かでありながら、確かな格を宿す。金は眩さではなく、信頼の象徴として控えめに息づき、空間全体は対話の質を高めるための器として整えられる。ここでは、商談は単なる業務の一部ではなく、互いの価値観を丁寧に差し出し、理解を深め、次の関係を結ぶための、特別な時間へと昇華される——そのような意図を、素材・光・音・動線のすべてに滲ませた空間づくりを目指した。
DATA
| 所在地 | 東京都中央区 |
|---|---|
| 用途 | オフィス |
| 設計期間・監理期間 | 2015.02-2015.05 |
| 延床面積 | 15.67㎡ |