この外観は一体のボリュームを、左右で表情を切り替えることでスケール感を和らげた構成です。左側はワイドなバルコニーとガラス手すりの水平ラインが伸びやかに連続し、都会的な開放感を強調します。右側は縦マリオンと分節されたバルコニーにより、立ち上がりのリズムと奥行きを与えています。足元では植栽帯と低い塀が街路との境界をやわらかくつなぎ、エントランスの木質素材が住まいらしい温かさを添えています。

エントランスは、大きく張り出した白いフレームと木目天井が象徴的な「門」のような空間として計画されている。車寄せと一体になった深い庇が、雨の日でも濡れずに出入りできる安心感を生み、昼夜で陰影豊かな表情をつくる。側面の壁と天井を同じ木質で包むことで、タワー型の外観の中に人のスケールへと縮尺を切り替える役割を持たせている。透明感のあるガラス扉の前には植栽帯を沿わせ、街路から住まいへの切り替えを柔らかく演出する、温かみのある迎えの場である。

風除室は、エントランスの「外」と「内」をつなぐ高さ感のある余白として計画されている。吹き抜けならではの伸びやかな空間に、木ルーバー天井と縦フレームがリズムを与え、外からの光と影を柔らかく取り込む。片側にはメール・宅配ボックスを一体的に納めた黒いカウンターを設け、落ち着いた壁仕上げと間接照明により、ホテルロビーのような静かな雰囲気を演出。ガラス越しに見えるホールと連続することで、セキュリティを確保しつつ、閉塞感のない、街に対しても開かれた迎えの空間としている。